搬送自動化コラムvol.2

人は、人にしかできない仕事に従事。
人との協働が進むAMR導入後の製造現場

ロボットが人の仕事を奪う?!

ロボットが私たちの仕事を奪うという説がありますが、それは本当なのでしょうか。

2020年に私たちを襲ったコロナ禍以降、工場での働き方は一変しました。製造現場は「非接触」という考え方が前提となり、その環境づくりのため、ロボットによる自動化が積極的に検討されるようになりました。コロナ禍以前は設備投資に消極的だった中小企業でさえ、前向きな姿勢を取らざるを得なくなっています。そしてその流れはコロナが収束した今でも続いているのです。

ロボットは、食事も休憩も関係なく24時間働き続けます。その様子を見て、「これは叶わない」「自分たちの業務がいずれなくなるだろう」そう考えるのも当然かもしれません。

確かにロボット導入による自動化が進めば、人手で行う必要のない業務は増えるでしょう。ただそれがイコール、ロボットにより仕事が奪われてしまうと考えるのは、いささか短絡です。

ロボットは人が苦手な作業を行い、
人は人がやるべき仕事に集中できる

そもそも製造現場で活躍するロボットは何のために誕生したのでしょうか。

産業用ロボットの歴史を紐解いてみますと、その誕生は今から70年ほど前のアメリカでした。開発された産業用ロボットは「汎用能力を持つ作業仲間」という意味をこめて「Unimate(ユニメート)」と名付けられました。
そのネーミングから見ても分かる通り、産業用ロボットは、人から仕事を奪うためではなく、人と一緒に働くことを前提として開発されているのです。
事実、産業用ロボットの登場は、その後の協働ロボットの誕生につながり、人との協働の考え方がより進化しています。

産業ロボットの誕生前も、新たな技術が人の仕事を奪うという懸念は歴史上幾度となく繰り返されてきました。産業革命初期に職を脅かされた英国の繊維工業の労働者たちが機械、工場を破壊して回ったラッダイト運動はその典型例です。
しかし、その後の歴史が物語る通り、特定の仕事は技術革新により消滅したとしても、労働生産性の向上が所得水準の向上につながり、新たな需要を喚起する企業や産業の登場により新規雇用が創出され、雇用全体は増加してきたのです。

結論から言いますと、ロボットが人の苦手な仕事を代替することはあっても、人が本来やるべき仕事自体がロボットに置き換えられることはありません。技術進化の歴史がそれを証明しています。

さらに話を進めれば、身体的に負荷が掛かる重労働や危険が伴う仕事をロボットが引き受けてくれることにより、人の安全や安心が担保され、人が人らしく働けるポジティブな環境ができあがりつつあると言っても過言ではないのではないでしょうか。

それは、搬送工程での搬送業務においての人とロボットの関係も同様です。

搬送作業において、人との協働を前提に設計されたロボット、それがAMR「MiR」

AMRはそもそも人との協働作業を前提として開発されているため、人に優しいロボットです。

たとえば、A地点からB地点へ部品を搬送する必要がある時、その経路に人を検知した場合は、人を避けて、もしくは人がいなくなるまで停止して、人と接触しないように走行します。それはガイドラインを設置して決められたルートを走行するAGVとの大きな違いです。

中でも、特に人との協働において優位性を誇るのがAMR「MiR」です。

人との協働の観点から、私たちが販売代理店を務めるAMR「MiR」の性能を見てみましょう。

MiRの特長 無人搬送車に関する安全規格・ISO3691-4に準拠した安全機能と補助機能

非常停止ボタンを本体側に標準的に装備

いざという時、どの位置からも非常停止ボタンにアプローチできるよう、合計4つの非常停止ボタンを両側面の前方と後方に装備

対角にセーフティーレーザースキャナを2個装備

周囲の障害物をフロアから200mmの位置を平面で360°検出
死角がないため、急な接近や飛び出しにも対応可能

ロボット前面に2つの3Dカメラを搭載

水平視野120[deg] 高さ1,700mmまでの障害物を検知
セーフティーレーザスキャナーの検知位置よりも高い部分の障害物検知をカメラでカバーすることで、より細かく周辺状況を把握し安全に走行することが可能

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赤外線式近接センサーを8個装備

スキャナや3Dカメラでセンシング出来ないエリアをフォロー

シグナルライトを8個装備

MiRの状態表示のため4角に2個ずつ、計8個装備
進行方向が一目で分かるため、人との協働空間でよりスムーズに稼働可能

MiR250による障害物回避のデモンストレーション動画

画面上側が実際の挙動、画面下側が管理ソフト上の画面です。上述の機器を駆使して周辺環境を検知し、状況に応じて回避や停止を自律的に判断しています。

まとめ

重労働により身体的障害を抱えている方が一定数存在する工場や倉庫の搬送現場。その方々が身体的苦痛から解放され、新たな職務で輝くことができる未来。AMR(自律走行搬送ロボット)がその仕事を肩代わりしてくれるからこそ、実現できるのではないでしょうか。ロボットの技術がさらに進化して、社会全体が輝くことが私たちの目指すところです。